このような自由な校風のもと、京大はすでにノーベル賞受賞者9人とフィールズ賞受賞者2名を輩出するなど、世界的な科學研究分野におけるリーダー的人物を數多く育成している。
京大は日本の自然科學研究の重鎮であると同時に、人文學科においても非常に重視されている。京大が得意とする物理、生物、醫學等の自然科學研究と肩を並べるのが「京都學派」と呼ばれる西田哲學と中國學研究だ。
「人文社會學科は京大にとって必須の學科だ。それ自身が重要な価値を持つというだけでなく、自然科學の発展にも非常に積極的な意義のあること」と山極総長は語る。
京大には自然科學學者であると同時に人文社會科學研究に従事する學者が少なくない。山極総長自身が従事する霊長類研究も、自然科學と社會科學をまたにかけた學科となる。山極総長は人文社會學科において最も重要なのは人材だとする。そのため「教員と研究スタッフの解雇は絶対に避けなければならない」と話す。中國にも人文學科、特に文學、史學、哲學等の學科を軽視する傾向があることを挙げると、山極総長は中國人學生の積極性とバイタリティは日本人學生よりも優れているが、スピードを落として、心を落ち著け、「今は必要のないもの」に対しても時間と労力をかける必要があると彼の考えを述べた。
京大の伝統と成果を紹介すると同時に、山極総長は外部とのつながりに関する反省點についても述べた。そしてその反省點を踏まえ、京大が取り組む新たな挑戦「WINDOW」構想は「窓を開いて世界と社會から吹き込む風を力に変えて、野性味あふれるワイルドで賢い學生を育成しよう」という試みだ。