市場が縮小 時代とのマッチングで生き殘りを
平野さんは、近年の自慢の作品を見せてくれた。それら作品には、夏の花火や秋の菊などが細かく描かれ、上品でありながら誰にでも愛される仕上がりとなっていた。伝統の技法を使って、現代の要素をシンプルに描いているため、現代の人々のセンスにマッチしながら、民族文化の特性も失われていない。平野さんは、このような改良やイノベーションを通じて、現代社會においても伝統工蕓が生き殘ることができればと考えている。
平野さんの素樸な一言一言からも、「蒔絵」に対する熱い思いや自分の技術に対する自信、日本の伝統工蕓が少しずつ衰退していることへの不安と失望などが伝わって來た。平野さんが最も頭を痛めているのは、日本の経済が低迷し、景気がなかなか回復しないこと。蒔絵工蕓品を好み、大金をはたいてでも買おうとする客が減り続けており、市場が縮小し続ける一方だ。蒔絵工蕓品などの日本の一流の工蕓品は今、大きな生存危機に直面しているのだ。
平野さんは、「伝統工蕓を守るのは、國にとっても重要な事で、技術が継承されなければ、日本の多くの優秀な伝統文化も消えていく」と警鐘を鳴らす。多くの蒔絵師が、歐米の市場開拓を試み、瓷器やガラスに蒔絵技法を取り入れようと研究している。新たな工蕓や試みを通じて、伝統工蕓が時代や世界とマッチングさせ、復活させようとしているのだ。
平野さんは取材に対して、「政府の伝統工蕓をするための取り組みは不十分で、伝統工蕓を振興させるための年間の予算1億円では全く足りない。日本の消費市場が縮小すれば技術も下がり、技術が下がるとさらに市場が縮小する。これは日本の職人が最も見たくない結果」と危機感を募らせた。蒔絵の市場が縮小している今、平野さんや他の漆器工蕓師は、本業以外に、骨董品や書畫、木彫り人形の修繕なども引き受け、さらに多くの分野に蒔絵技法を取り入れることができればと考えている。
既に高齢の平野さんは、いつまで蒔絵師を続けられるか分からず、使命感から技術を磨き、洗練された漆器工蕓品を後世に伝えたいと願っている。(編集KN)
「人民網日本語版」2016年6月28日
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