昨年末、オーダー家具を注文したところ、3ヶ月経っても完成しなかった。棚は曲がって取り付けられ、クローゼット內の収納棚の寸法は間違っており、おまけにクローゼットの側壁には組み立て作業員が打ち間違えた時にできたであろう釘跡の穴が2つあった。さらに驚くべきは作業監督者が示した解決案で、シールを貼って穴を隠すというものだった。挙句に「どっちにしろもう一方は壁に面しているから、普段は目につかないし、大體隠せればいいでしょう」と言われる始末。顧客サービススタッフは責任逃れせずに毎回修繕しますと答えるのだが、設計士、監督者、組み立て作業員が順にやってきては毎回修繕し、そして修繕するたびに新たなミスを重ねていくという、まさに中國の著名作家?胡適の作品「差不多先生(いい加減さん)」を地で行く事態となった。クローゼットの板材の品質は悪くなかったし、アフターサービスも責任ある対応だったと言えるが、これらユーザーが本來稱賛すべき體験は「差不多先生」たちのおかげで全て臺無しになってしまった。人民日報が伝えた。
最悪なのは、現在、中國の製造業分野においてこのような「差不多先生」が少數とは言えない點だ。中國は現在約220種類の工業品の生産量が世界一を誇る、堂々たる製造業大國だ。しかしながら、世界的な市場で「品質」や「クオリティ」が話題になった場合、中國の製造業がそのトップに挙げられることはまずない。中國は生産量は膨大であるものの、付加価値は低く、主にミドル?ロークラスの市場に集中しており、世界的にも有名なブランドはとても少ない。その原因は「差不多先生」が多すぎて、企業に「匠の精神」が欠落しているからだ。
匠の精神の欠落はその市場競爭力を大きく削いでしまっている。短期的には、繰り返しの修正が人件費と材料コストを増大させ、利益を減らし、製品の市場競爭力を削いでしまう。長期的には、ブランドへの評判に影響を與え、企業が製品の付加価値をアップさせる際の足かせとなり、モデルチェンジやアップグレードの妨げとなる。
今年の「政府活動報告」では、品質を極める匠の精神の育成を提案し、その要害を指摘している。日本の軽工業製品、ドイツの精密工作機械と精密計器、スイスの時計など匠の精神が一國の製造業に巨大な経済的利益と強大な生命力をもたらすことは簡単に見てとることができる。リーマンショック後、世界各國はますます製造業の発展を重視しており、中國の製造業がその一部を擔いたいと目論んでいるならば、匠の精神を育成していくことが必須となる。