「週刊!深読み『ニッポン』」
10月23日付の「朝日新聞」デジタルには「これが平和主義と呼べるのだろうか」という社説が掲載された。安倍內閣のまとめた「國家安全保障戦略」(NSS)と年末に閣議決定予定の「新防衛大綱」に疑問と憂慮を投げかけるものだった。
社説の內容は以下の數點に要約できる。
1.國家の安全保障をめぐって「國家安全保障戦略」(NSS)が強調しているのは軍事的手段の強化であり、外交的協調ではない。
2.安倍首相が提唱している「積極的平和主義」の目的は、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使にある。
3.「武器輸出三原則」の見直しを突破口として、法律面と道徳面での軍事拡張へのしばりを解くことは、日本を危険な道に導くことになる。
4.戦後日本の平和主義路線と基本理念は深刻な試練に直面している。
2カ月が経過し、この社説に書かれた問題はすべて現実のものとなった。現実はそこで描かれたものよりさらに厳しいものと言えるかもしれない。
「特定秘密保護法案」は11月26日に自民黨主導の衆議院において強行採決され、さらに12月6日夜に參議院で再び強行採決された。この採決を「強行」と呼ぶのは誇張ではない。國會周辺には多くの反対者が集まった。法案が參議院に移されてからは、世論も野黨(衆議院で賛成票を投じた「みんなの黨」を含む)も十分な時間を取ってこの法案を修正し改善することを求めた。だが自民黨は、予定していた會期內(12月6日)の強行採決に踏み切った。さらに法案反対の先頭に立つ民主黨に対しては、日本の憲政史上で前代未聞の脅迫措置を取った。民主黨議員2人の參議院小委員會の委員長職を解いたのである。民主主義を完全に踏みにじり、世論と民意を無視したこのような傲慢な措置は、昨年12月の參議院選挙において経済発展と國民生活の改善を自らの使命とした自民黨の謙虛な態度とは大きく異なるものと言わざるを得ない。