中國の崔天凱駐米大使は1日、米ブルームバーグのウェブサイトへの寄稿「南中國海問題における溝をどう埋めるか」で「中米関係はこれほどまでに重要であり、南中國海問題によって翻弄されることを許してはならない」と指摘し、米側に対して中國の意図を正しく読み解き、読み誤りや誤った判斷によって真の危険や悪い結末が引き起こされることを避けるよう促した。新華社が伝えた。
崔大使の寄稿の要旨は以下の通り。
南中國海問題に関する中米両國の溝は日増しに懸念、さらには焦りを引き起こしている。南中國海における中國の措置と意図についての米國や世界の他の場所におけるいくつかの認識は誤ったものだ。南中國海問題の本質は領土と海洋管轄権をめぐる爭いだ。中國は自らの長期的で合法的な領土主張と海洋権益を維持し、守るために行動しているに過ぎない。
指摘される埋め立てと建設活動は中國が長期管理?支配してきた島?礁上で行なわれているのであり、多くの施設はナビゲーションサービス、緊急救助、科學研究、環境保護など民事?公益の目的に用いられる。非常に限定的な防衛施設を「軍事化」と呼ぶことはできない。だが最近米側の発言と軍事配備が、まさに地域の緊張を激化させている。こうした言動が規制されなければ、各國共に回避を望む「軍事化」が本當に招かれる。
皮肉なことに、米側は國連海洋法條約(以下略稱「條約」)によって中國側を非難しようとしているが、いまだに「條約」を批準していない。米側はしばしば「航行の自由」を南中國海で行動を起こす理由にしているが、実際には米側による「航行の自由作戦」はまさに條約における航行の自由の定義に挑戦するものであり、米側は「條約」の規定を米海軍の全世界における行動の自由の能力を制約するものと考えている。
最もひどいことに、南中國海における中國の措置は深刻に読み誤られ、アジア太平洋さらには全世界における米國の主導権に挑戦する戦略的行動と見られている。いわゆるアジア版「モンロー主義」の出現を懸念する聲すらある。だが中國側は「勢力範囲」という考えは21世紀においてはすでに時代後れだと考える。中國は地域協力に一貫して盡力している。中國はアジア太平洋地域における米國の伝統的なプレゼンスと合法的利益を尊重している。中國側が誰かを排除しようとしているのではなく、この地域における中國の合法的かつ拡大し続ける権益の否定を試みる者がいるというのが事実だ。
中米関係はこれほどまでに重要であり、南中國海問題によって翻弄されることをわれわれは許してはならない。中米雙方にはいくつかの重大な溝があるかも知れないが、重要な利益を共有してもいる。雙方は共に地域の平和と安定の維持を主張し、國際法に基づく航行と上空飛行の自由を支持し、平和的交渉と外交対話による爭いの解決を支持している。南中國海を中米角逐の場とするべきではない。
現在、中米両國の指導者は共に溝を適切に処理し、情勢を管理?コントロールする政治的意向を表明している。これは良い知らせだ。中米雙方はこれについて対話を継続している。中國側は建設的態度を示したいと考えている。米側も同様の精神を體現することを希望する。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年6月3日