春節(舊正月、今年は2月19日)連休期間に、日本の炊飯器やトイレの便座が品切れ狀態になったとのニュースが議論を巻き起こしている。ある人がこれはメードインチャイナの「問題點」を鋭くついたものであると指摘すると、別の人がすぐに立ち上がり、中國の家電製品は実際には日本製品と品質にそれほど違いはないと反論している。人民日報が伝えた。
今回の件から想起されるのは、お隣の韓國でかつて起きた「炊飯器の苦悩」だ。韓國で海外旅行が解禁されたばかりの1983年、釜山市の市民団體「主婦教室」が日本に行って民間交流を行った際、日本製品を大量に買い込んで帰國した。炊飯器、掃除機、カセットレコーダー、カメラ、毛皮などで、當時の価格で約3千ドル分だった。この1件は韓國社會を大きく揺るがし、こうした振る舞いは韓國の恥とみなされた。日本製品を買うことは密輸とされ、製品は沒収の上、罰金が科され、主婦教室は上級機関による取り締まりを受けた。
韓國メディアはこの件について報道を続けた。「東亜日報」は同年2月10日に「日本製炊飯器」とする記事を掲載し、當時の韓國國民の日本製炊飯器に対する憧れを紹介し、「金浦空港の稅関を通る旅客はほとんど全員が日本製炊飯器を持っている」、「昨年1年間に旅客が持ち帰った炊飯器は1萬5千臺を超えた。毎日40~60臺が旅客により日本から持ち帰られている」などと伝えた。また韓國の主婦は、「日本製炊飯器は3日経ってもご飯の味が変わらない。國産品は1日でだめになる。國産品が優れていれば、誰がわざわざ外國製品を買い求めるだろう」と述べた。當時は市場で売られている日本製炊飯器は13萬ウォン(1ウォンは約0.1円)で、海外で買えば8萬~10萬ウォンほど。國産品は約4萬ウォンしかなかった。
製造業界は最終的に、韓國産炊飯器は確かに輸入製品に品質の點で劣り、種類も少ないことを認めたが、さまざまな苦労や苦悩があることも明らかにした。日本製の炊飯器の品質が高いことは確かだが、価格は國産品の何倍もする。一方、韓國の家電メーカーは技術が追いつかないわけではなく、同じレベルの製品を作ることはできるのだが、當時の韓國家電業界では高価な炊飯器を作っても売れないとの見方が一般的だった、というのだ。この「炊飯器の苦悩」を受けて、韓國の製造業界は自國民の消費力や生活の質に変化が起きていることを認識し、新たな需要をしっかりと見據え、積極的に新製品を開発する必要があることを認識した。こうして炊飯器をめぐる騒動は韓國の産業の変化を後押しする重要な要因になった。