時の経過に伴い世界も変わる。経済のグローバル化、世界の多極化、文化の多様化、國際関係の民主化という「5つの変化」による駆動、および現実世界とバーチャル世界の相互交錯、伝統的安全保障上の脅威と非伝統的安全保障上の脅威の相互交錯という「2つの交錯」による影響の下、21世紀の國際秩序は未曾有の深い変化を生じている。(文:陳須隆?中國國際問題研究院國際戦略研究所所長。人民日報海外版コラム「望海樓」掲載)
新興エコノミーと発展途上國の集団的臺頭が世界の経済?政治勢力図を塗り替え、「南の上昇と北の下落」が不可逆的大勢となっている。世界経済と戦略の重心はアジアにシフトし、國際戦略構造の「東の上昇と西の下落」が次第に明らかとなってきている。國際秩序空間は奧深く拡大し、國際的角逐は伝統的な陸海空から極地、深海、宇宙、サイバー空間にまで延伸し、発展および道義上の要衝、規則制定権をめぐる爭奪が激化している。國際構造?秩序は変遷の過程、國際體制は再編の過程にあり、世界は変革の大きな潮の中にある。
世界唯一の超大國は複雑な心境を見せている。冷戦終結後、米國は「勝者」を自任し、EUとNATOの「2つの東方拡大」を推し進め、ロシアの苦境につけ込んで追い打ちをかけ、その地政學的戦略空間を圧迫し続け、ついにウクライナ危機を勃発させた。これは米國の犯した大きな戦略ミスと考えられている。
米國は中國の臺頭に対しても複雑な心境でいる。米國は「アジア太平洋リバランス」を推し進めることで、地域秩序の主導権を強奪し、中國に対する防備、牽制を強化し、中國周辺を「樹靜かならんと欲すれども風止まず」「海靜かならんと欲すれども波逆巻く」の狀況にしている。その一方で、「米國は繁栄する、平和で安定した中國の臺頭を歓迎する」と公言し、力強い中米関係は「アジア太平洋リバランス」の核心だと強調し、中國との「協力?ウィンウィン」へのニーズを高めている。