ロボット関連技術は長年にわたる育成期を経て、今では成熟期を迎え、ロボット産業も爆発的発展期を迎えている。ロボット市場の可能性は巨大であることから、大手企業も相次いで進出し、早めにチャンスをつかんでパイの分け前にあずかろうとしている。
世界ロボット大會2022には、30種類を超える世界初公開のロボットがお目見えし、ロボット分野の最も先進的な技術が展示された。ロボットは見た目がかっこいいだけでなく、イノベーションとクリエーションの無限のポテンシャルを秘めている。
ロボット産業に大手企業が相次いで進出
昨年に初めて公開された米電気自動車(EV)大手テスラの人型ロボット「オプティマス」は、最近また検索ランキングで上位に入った。イーロン?マスク最高経営責任者(CEO)によれば、9月30日にこのロボットのより詳しい情報を公開し、早ければ來年にも発売する予定という。8月8日には騰訊(テンセント)が犬型ロボット「マックス」の二代目を発表した。ポールの上で回転や足踏みをし、別のポールに飛び移り、2輪で直立するといった難しい動作を行える。小米(シャオミ)のロボットの「サイバードッグ」と「サイバーワン」、小鵬汽車のスマート馬形ロボットなど、登場する各種のロボットは枚挙にいとまがない。
マスク氏はかつて、「ロボットは自動車よりも価値がある。価値があれば必ず市場がある」と率直に語った。現在、小米、百度(バイドゥ)、華為(ファーウェイ)、テスラ、フォード、トヨタなど中國內外の多くのテクノロジー大手と自動車メーカーが、各社のロボットを競うように打ち出している。
湖北工業大學コンピューター學院の張子蓬準教授は、「デスクトップパソコンからノートパソコンへ、さらにスマートフォンへ、ディスプレーはますます小さくなり、インタラクティビティの便利さはますます向上している。全體として言えば、今後はさまざまな形態のロボットがコミュニケーションの最良のツールになることは確実だ。ロボットはネットワークサービスのオフラインへの延長?応用に適している上、ニーズも極めて大きく、テクノロジー大手が現在のように競い合うのももっともだと言える」と述べた。
力強く発展する中國のロボット産業
中國科學院の丁漢院士は、「中國のロボット技術はスタートが遅かったが、國がデジタルトランスフォーメーションを推進するのに伴って、製造業大國として、ロボットの応用範囲がますます広がっている。『とりわけすごい』國産ロボットは、人々が想像するロボットとは少し異なるかもしれないが、『陸?海?空』をカバーしている」と説明した。
ロボットが食事を運ぶ、ロボットが検査をする、ロボットが貨物を運ぶ……今やロボットは私たちにとってごく當たり前の「スマートアシスタント」になった。
前出の張準教授によると、ここ數年、國はロボット産業への支援に力を入れ、政策や資金など各方面に持続的に力を入れており、ロボット関連の科學技術イノベーション企業が次々に現れている。中國はロボット技術の研究開発と産業推進の面で、大きな進展を遂げ、力強い発展の勢いを見せているという。
現在、中國の産業用ロボットも技術イノベーションと需要増大の両方に牽引される形で、スマート製造分野へと急速な広がりを見せている。
中國は世界最大のロボット応用市場に
世界ロボット大會2022の會期中、企業130社以上が500點以上の製品を出展し、ロボット技術が今、さまざまな産業に急速に融合する流れが垣間見えた。
全自動でスピーディに作業するタイル敷設ロボット、高い場所にぶら下がって作業する外壁噴霧ロボットなど、建設産業でのロボットの応用がさらに加速している。広東博智林ロボット有限公司の劉震副総裁は、「當社が開発した噴霧ロボットは建築物の外壁の無人化施工を実現した。測量ロボットの測量精度は1ミリメートルを下回り、作業効率は人間の2.5倍以上だ。一部の危険、煩雑で汚い重労働の現場での仕事をロボットに任せれば、人間による作業の負擔とリスクを軽減することができる」と述べた。
応用の広さと深さが加速的に拡大するのに伴って、ロボットは各産業のデジタルトランスフォーメーション、スマート化の向上をサポートするようになった。工業?情報化部(省)の辛國斌副部長は世界ロボット大會で、「従來型産業での応用が絶えず深まり、産業用ロボットは産業の60の大分類、168の中分類で応用され、先端応用市場へと徐々に向かっている。中國は今や世界最大のロボット応用市場だ」と述べた。
デジタル経済の新たなブルーオーシャンを切り開く
新型コロナウイルス感染癥が流行している中、各産業でロボットを使いたいという意向がさらに高まり、グローバルロボット産業は急速に発展し始めている。
「中國ロボット産業発展報告(2022年)」によると、21年に世界のロボット市場の規模は拡大を続け、産業用ロボット市場が力強く反転上昇し、設置數が過去最高を更新し、サービス用ロボットと特殊ロボットが高度成長と活発なイノベーションを続けた。同報告の予測では、22年の世界ロボット市場の規模は513億ドル(1ドルは約137.2円)に達し、17-22年の年平均成長率は14%に達するという。
中國はロボットの科學技術と産業の発展を非常に重視しており、ロボット市場の規模は急速な拡大を続けている。そのうち22年の産業用ロボット市場の規模は87億ドルに達し、サービス用ロボットは65億ドル、特殊ロボットは22億ドルに達する見込みだ。
人口高齢化の流れが加速し、建設や教育の分野での持続的で旺盛なニーズに牽引されるのに伴って、中國のサービス用ロボットには極めて大きな市場のポテンシャルと発展の可能性が備わるようになった。同報告は、24年には新しい応用シーンの開拓がさらに進み、規模は100億ドルを突破するとの見方を示した。
特殊ロボットは今、新たなニーズが爆発的に増加するチャンス期を迎えている。同報告によると、地震、洪水、異常気象及び鉱山事故、火災、安全対策など公衆の安全に関わる事象に対応する上で、特殊ロボットには巨大なニーズがある。17年以降、中國の特殊ロボット市場の年平均成長率は30.7%に達した。24年には市場規模が34億ドルに達することが見込まれる。
一般家庭でロボットを買うようになるのはいつ?
ダンスをしたり將棋を指したりするパートナーロボット、障がい者が「立ち上がる」サポートをする外骨格ロボットから、最近大きな注目を集める人型ロボットまで、こうした人間の「友人」が、人々の日常生活に急速に溶け込みつつある。
世界ロボット大會では、遊びの相手をしてくれる四本足の犬型ロボットに、大勢の人々が足を止めて見入っていた。飼い主がジョギングをするとその側をついて行き、背中に小さなカゴを取り付ければ、遠隔操作で宅配便やデリバリーを取りに行くこともできる。
関係責任者は取材に対し、「この四つ足ロボット犬はすでに量産されていて、年間の売り上げは數千臺に上る。今回展示された四つ足ロボット犬は、普及タイプの価格が約1萬6千元(1元は約20.0円)だ。市場ニーズが徐々に拡大するのに伴って、今後3-5年ほどで、家の中に四つ足ロボット犬がいるのが珍しい光景ではなくなるかもしれない」と述べた。
世界ロボット大會の展示ブースでは、世界初の実物の駒で中國將棋を指す將棋ロボット「進化者」が、來場者にこれまでにない新鮮な対局體験を提供していた。人間が一方のサイドに座り、一手を指すごとにボタンを押すと、將棋盤に搭載されたセンサーが感知し、局面を読み取り、ロボットアームが次の一手を指す。こうした一緒に將棋ができるロボットは価格1萬元以下というものが多く、最近登場した商湯科技開発有限公司の人工知能(AI)の將棋ロボットは、標準タイプならわずか1999元だ。
動きが不自由な障がい者や高齢者が、外骨格ロボットを裝著すれば、立ち上がることも、軽々と歩くこともできるようになる。こんなシーンはすでに現実のものになっている。高齢化時代には、リバビリをサポートするロボットに大きな市場の可能性があり、業界関係者は「その市場規模は少なくとも1千億元レベル」と見込む。今の最大のネックは価格が高すぎることで、高齢者は購入をためらっている。今の外骨格ロボットの応用価格は全體として高く、高いものでは100萬元を超えるものがあり、一般的なものでも50萬元から60萬元もする。北京大艾ロボット科技有限公司の帥梅會長は、「當社は持続的な技術イノベーションを通じて、家庭で使用する外骨格ロボットのコストを大幅に引き下げており、10數萬元の個人向け製品を打ち出し、すでに數千人の患者が使用している」と述べた。(人民網日本語版論説員)
「人民網日本語版」2022年8月29日