中國科學院紫金山天文臺は13日、同天文臺の徐偉彪研究員と惑星化學科學研究チームが南京地質古生物研究所と協力して月のサンプルの研究を行い、サンプルのイルメナイトの含有量が極めて高かったことから、高チタン玄武巖として確定したと発表した。科技日報が伝えた。
これまで國內のその他の研究チームは嫦娥5號の月のサンプルから、低?中チタン玄武巖を発見していた。學者らは今回の研究と結びつけ、嫦娥5號月著陸エリアではかつて複數回にわたり火山が噴火した可能性があると推測した。これらの成果はこのほど中國の総合類學術誌「科學通報」(英語電子版)に掲載された。
論文の連絡著者でもある徐氏は、「今回採取されたサンプルは月の海の玄武巖で、主に月の表側の盆地に分布している。深さ100-400キロメートルのマントルの溶融によって形成されたものだろう。研究チームは高分解能顕微CT、走査型電子顕微鏡、電子プローブなどによって1つのサンプルの詳細な鉱物學及び3次元斷層イメージングの研究を行った」と述べた。
その結果、このサンプルが月の火山玄武巖であり、細?中粒ドレライト構造を持つことが分かった。少量のかんらん石斑晶が、輝石、斜長石、イルメナイト、その他の副鉱産物でつくられる基質に分布していた。主な組成鉱産物である輝石の化學成分と変化の流れは、米アポロ計畫とソ連のルナ計畫が持ち帰った高チタン玄武巖のタイプと高度に一致する。
徐氏によると、このサンプルはイルメナイトの含有量が極めて高かった。その體積は17.8vol%で、存在割合はアポロ計畫の月の海の玄武巖の最高値である18vol%に近い。
徐氏は、「高チタン玄武巖は珍しく、現在まで集められているすべての月の隕石からはほぼ見つかっていない。イルメナイトは月の淺層に位置し、一般的には月の地殻とマントルの間のエリアに分布している。玄武巖は月の奧深くのマントルの物質が高溫熔融し形成されたマグマによって月の表面に噴出し、冷卻し固まってできるものだ。そのため玄武巖のチタンの含有量は低いはずだ。高チタン玄武巖が生じたことについて、イルメナイトの比重が大きいことからマントルの上が重く下が軽いという重力不安定構造が生まれ、イルメナイトが反転し深いマントルに沈み込み、熔融によりマグマと共に噴出され、冷卻後に玄武巖の中に閉じ込められたとの學界の仮説がある」と説明した。
徐氏はまた、「このようなことは珍しく、嫦娥5號のサンプル採取エリアで、マントルにこのような反転が生じ、高チタン玄武巖ができた可能性があることが分かる」と述べた。
科學研究者はさらに今回のサンプルから、含有量が0.5%のリン酸塩鉱物を発見した。徐氏は、「リン酸塩鉱物は通常、希土類元素を豊富に含み、またトリウムやウランなどの放射性元素を含む。これらの元素は玄武巖のマグマを生むエネルギーの出処だ」と述べた。
これまでも國內の科學研究チームが、嫦娥5號の月のサンプルから月の海の低?中チタン玄武巖が見つかったと発表していたことは注目に値する。徐氏は、「同一地點で噴出するマグマはいずれもマントルの同一エリアからのものだ。このエリアではこれまですでに低?中チタン玄武巖が見つかっていたが、今回はさらに比較的珍しい希土類元素を豊富に含む月の海の高チタン玄武巖が見つかった。これは嫦娥5號著陸エリアで過去に少なくとも3回、恐らくは何回もの火山の噴火活動が生じたことを意味する。また、マントルの化學成分が不均一であることが分かる。これは月の変化の研究に重要な手がかりを提供している」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年12月14日