最近、「米國が自國企業に中國にある工場を撤退させるよう要求し、米政府が撤退にかかる費用を100%負擔する」という情報がインターネットの中で悪意をもって拡散され、一部の人々の間では新型コロナウイルスによる肺炎が発生して「外資が中國から撤退する」のではないかとの懸念が広がる。しかし実際のところ、こうした情報を詳しく検討するとすぐにわかるのは、ここから発生した「外資が中國から撤退する」ことへの過剰な心配はまったく必要がないということだ。このたくさんの個人メディアで確かに言及されている情報は、実際には米國家経済會議(NEC)のクドロー委員長がある番組の中で述べた個人的な見解を拡大しただけのものだ。クドロー氏の発言はすでに決まった米國の政策ではなく、「米國の製造業の中國への依存をどのようにして軽減するか」について述べた個人的な意見に過ぎない。(文:欒雨石?海外網論説員。「海外網」に掲載)
中國國際経済交流委員會學術委員會の王軍委員は、「クドロー氏は一部の『中米斷絶論』の支持者の意見や傾向を代弁しているだけのことで、米國企業の一般的な見方ではなく、普遍性を備えた企業の方針決定との隔たりは非常に大きい」と述べた。
米経済紙「フォーブス」は記事の中で、「米國企業を移転させるのは、『各種設備とオフィス家具をコンテナに積み込んで、太平洋の反対側まで運ぶ』といった単純なことではない。これはつまり、中國の低コストによって得られた利益が、生産を移転する中ですべて失われてしまうということ、そのために數百萬ドル(1ドルは約107.5円)の経費がかかるということを意味する」と指摘した。
このたびの新型肺炎がグローバルな危機であること、過去數十年間に及ぶグローバル化の深化の時期にも人類の社會が経験したことのない新たな挑戦であることに疑いの余地はない。この外部で発生した変數による突然の打撃の中、グローバル供給チェーンは短期的に深刻な打撃を受け、一部の國はすぐに対応できず、供給チェーンが逼迫したことはごく自然な反応だ。こうして産業チェーンが中國から移転すると不安に思うことは人情として當たり前のことだ。しかし感染癥は數十年にわたって構築されてきたグローバル供給チェーンの基本的構造を変えられるだろうか。市場が資源配分を決定する経済の法則が変化するだろうか。多くの主要エコノミーが自身も長年利益を得てきた國際経済貿易協力システムを放棄して、別のシステムを打ち立てようとするだろうか。
王氏は、「特にはっきりさせておかなければならないのは、各國の企業が中國から撤退するかどうかは全面的に利益を考慮して初めて決定できることであり、感染癥がもたらした短期的な打撃を考えるだけでなく、中長期的な國家間の関係性や市場の変動といった要因も考慮しなければならず、非常に複雑なものであるということだ。政府が誘導するかもしれないが、企業に代わって方針を決定することはないし、決定することはできない。グローバル産業チェーンにおける中國の重要な位置づけは感染癥の影響で根本的に変化することはない」と述べ、次の4點を指摘した。