中國日本商會が取りまとめた「中國経済と日本企業2019年白書」が19日、北京で発表された。白書によると、日本の対中投資実行額は2年連続の増加となった。2018年、70%以上の日本企業が中國で黒字となり、事業展開の方向性について経営規模拡大の意向を持つ在中國日本企業の數は増加傾向にある。一方で企業経営上の最大の問題點は依然として「従業員の賃金上昇」だった。人民網が伝えた。
中國日本商會の小野元生會長の説明によると、2018年の日本の対中投資実行額は前年比16.5%増の38億1千萬ドルとなり、前年から2ケタの伸びとなった。全世界からの対中投資実行額は前年比3.0%増の1349億7千萬ドルとなり、前年に引き続き過去最高を更新した。
白書の調査結果によると、2018年度の営業利益(見込み)について「黒字」と回答した在中國日系企業の割合は前年度比1.4ポイント増の71.7%となり、2017年に続き70%を超える水準を維持した。
日本企業の今後1-2年の事業展開の方向性についての調査では、「拡大」と回答した企業の割合は48.7%、「現狀維持」と回答した企業の割合が44.8%となっている。注目すべきは、日本企業の中國における事業拡大の意向が2015年度は1998年の調査開始以來初めて40%を下回って38.1%となったものの、そこから増加に転じていることだ。
中國における事業を「拡大」すると回答した日本企業のうち、59.5% は「販売業務」を拡大、37.4% は「(高付加価値品の)生産」を拡大すると回答した。このことから、中國で製造?消費の高度化が進展するなか、優れた商品や技術、ノウハウなどを提供しようと日本企業が市場開拓を強化している様子がうかがえる。
このほか、経営面では、75.7%の日系企業が経営上の課題として「従業員の賃金上昇」と回答(複數回答)し、2017年調査比で0.4ポイント微増し、引き続き最大の経営課題となった。また53.5%の企業が「調達コストの上昇」と回答した。
小野會長は、「人件費の上昇など投資環境の変化はあるものの、日本企業が中國を世界有數の巨大市場と捉えていることに変わりはなく、內販型の企業?業種を中心に日本企業は中國市場を引き続き重視していく」と述べた。
このところ、中米貿易摩擦が世界で広く注目される焦點となっている。白書の発表會でも複數の記者がこの問題について質問した。これに対して小野會長は、「世界の國々のなかには、自由貿易を推進したい國もあれば、一部には保護主義的なことを考えている國も見受けられる。原則はグローバルスタンダードで、地球全體が自由貿易體制をしかりと堅持していく形で全部のビジネスが展開されていくのが一番望ましい。中米経済は切り離して発展することはできないほど、雙方の経済が複雑に協力し合う関係にある。例えばテスラが上海で工場を作るなど、中國の市場を期待しての米國企業の対中投資が行われている。こういった協力関係は今後も斷続的に続くと思う」との見方を示した。
中米貿易摩擦は日本企業にどのような影響を與えているのか?小野會長は、直接的な影響は限定的であり、將來的な影響については観察が必要だと指摘。さらに、「在中國日本企業の現地調達率は非常に高く、66.3%に達しているが、米國からの調達率は5%以下である。しかも在中國日本企業の対米輸出率は低く、2018年にはわずか5.9%だった。したがって、この點だけを見ると、直接的な影響は限定的という見方もできる。ただ、米國向けの輸出企業、例えば中國のメーカーに対する日系のサプライヤーは影響を受ける恐れがある」と述べた。
さらに小野會長は「現在はこのような狀況だが、長期的に見れば中國の需要は非常に旺盛だ。米中貿易問題が早期に解決することを期待している」と語った。
「中國経済と日本企業白書」は2010年から出版?発行されており、2019年版白書は中國日本商會および中國各地の商工會組織の日系企業8765社が直面している課題を分析し、中國ビジネスの第一線で活躍する中國の日本商會會員企業社員約50人によって執筆された。內容は「中國経済と日本企業の現狀」、「共通課題?提案」、「各産業の現狀?提案」、「各地域の現狀?提案」の4部に分かれ、全27章、470項目の提案からなっている。(編集AK)
「人民網日本語版」2019年6月21日