ウラジオストクで開かれていた東方経済フォーラムが先日閉幕した。ロシアのプーチン大統領は12日、露日の平和條約について、いかなる前提條件も設けずに締結し、両國間の紛爭の交渉による解決を條約の中で定めることを提案した。日本側にとっては予想外の提案だった。日本の菅義偉內閣官房長官は同日、島嶼の帰屬問題を解決してから平和條約を締結する日本政府の立場に「全く変わりはない」と強調した。人民日報海外版が伝えた。
プーチン大統領の提案によって日露島嶼紛爭に再び注目が集まった。だが両國の領土紛爭の解決プロセスや北東アジアの國際関係への影響があるかどうかは、今後の動向を見守る必要がある。
■溝の解消は困難 島嶼紛爭は膠著
プーチン大統領は12日、第4回東方経済フォーラムの全體會合で日本の安倍晉三首相が演説した後に、雙方が年內に「いかなる前提條件も設けずに」平和條約を締結することを提案。平和條約を先に締結することが、過去70年間の懸案を解決する助けになるとも強調した。
プーチン大統領が東方経済フォーラムでこのような提案をしたのはなぜか。
中國伝媒大學國際関係研究所の楊勉教授は、これについて、島嶼の領有権を頻繁に主張する日本に対するプーチン大統領の外交テクニックだと分析する。「プーチン大統領はボールを日本側に返したのだ」。
楊氏によると、プーチン大統領は「平和條約締結後に島嶼紛爭を解決」を提案することで、今後の交渉に融通の余地を殘して露日関係を維持するとともに、ロシア側の立場を堅持することを図った。この発言は、領土問題におけるロシアの立場がみじんも軟化しないこともはっきりと示した。
「プーチン大統領は、四島のロシア帰屬は第2次大戦の結果であり、変更は許されないと再三強調している。ロシアは周辺の安全保障に重大な注意を払っている。アジア太平洋地域に対しては特にそうだ」。國際関係學院の孟暁旭教授は、四島の重要な戦略的価値を考えると、ロシアが簡単に全てを譲ることは斷じてあり得ないと指摘する。
ロシアと対照的に、日本はこの提案のために受け身に陥る可能性がある。日本の國內世論は、経済的利益によって領土紛爭解決の可能性を開く日本側の戦略はふいになる可能性が高いと考えている。「北方四島問題は日本國內ですでに深刻にナショナリズム化されており、歴代內閣はいずれも世論の圧力を恐れて融通を利かせようとはしてこなかった。安倍首相が融通を利かせる余地は小さい」と孟氏は指摘する。
■膠著は継続 なお見守る必要
安倍首相はロシアの提案を受け入れるだろうか。
楊氏によると、日本としては島嶼紛爭が懸案のままで、今後の交渉で失敗する可能性がある中、平和條約を締結すれば、現在のロシア側の優勢を一層強めることになる。これに國內世論の圧力や個人的立場が加わるため、この問題で安倍首相が妥協することはない。「領土をめぐる日露の膠著は今後も続いていくだろう」。
露紙「獨立新聞」によると、ロシア科學アカデミー極東研究所のワレリー?キスタノフ日本研究センター長は「私からすると、何らかの期限を設けることには全く意義がない。本質は、日本が必要なのは平和條約ではなく島嶼だということだ」と指摘した。
「四島問題で安倍政権は打つ手に乏しく、今後ロシアとの駆引きで依然受け身になるだろう」。孟氏は、日本ができる第一の事は、やはり自らの立場と主張を示すことだと分析する。菅官房長官は12日、島嶼の帰屬問題を解決してから平和條約を締結する日本政府の立場に「全く変わりはない」と強調した。
「島嶼地域でロシアと開発協力を強化する、日露文化交流を発展させる、首脳外交を推進する、四島を日本の自然保護區に組み込むなどは、いずれも対応の選択肢であるとは言える。そうすることで日本の存在感を高め、交渉カードを増やすことができる」と孟氏は指摘する。
「だが日露の島嶼紛爭は詰まるところ北東アジアの國際安全保障における不安定化要因であり、今後激化するかどうかは、それぞれの國內情勢及び國際情勢の変化を見る必要がある」と孟氏は補足する。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年9月18日
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