中國経済を観察する3つの視點
現在の中國経済については様々な見解があるが、ここでは3つの視點を紹介する。
■「底打ちと安定化」の視點から見た成長
現在、多くの経済指標に若干の改善が見られ、プラスの兆候が強まり続けている。多くの経済學者は、中國経済には底打ちと安定化の狀況が見られるとしている。
需要サイドを見てみると、9月の社會消費財小売総額の前年同期比成長率は8月から1.1ポイント上昇し、固定資産投資の成長率も第1-3四半期(1-9月)は1-8月の數値と橫ばいで、下げ止まりと安定化の動きが見られた。第1-3四半期の輸出は6.2%増加し、9月末時點の外貨準備高は3兆3000億ドル(1ドルは約153.2円)に回復した。経済を牽引する消費、投資、輸出の「トロイカ」が加速度的に力を蓄え、相乗効果を発揮しており、世界第2位の経済大國は比較対象となる基數が高いながらも比較的速い成長を実現し、新たな原動力が大きく成長し、経済構造が一層最適化され、中國経済を支える基盤はさらに堅固になっている。
供給サイドに目を向けると、9月の規模以上工業(國有企業または売上高500萬元以上の非國有企業)の生産額(付加価値ベース)は前年同期比で5.4%増加し、4ヶ月続いた下落に歯止めがかかり、8月より0.9ポイント回復した。サービス業生産指數は5.1%増加し、8月から0.5ポイント上昇した。製造業購買擔當者景気指數(PMI)は49.8%で、8月より0.7ポイント上昇した。これらのマクロ指標の底打ちからの改善は最も直接確認できるプラスの要因であり、中國経済の「安定の中で好転」という狀態が続いていることを明確に示している。
現在の経済運営には新たな狀況や問題もいくつか生じているが、これらの困難は発展やモデル転換の過程での問題であり、努力によって十分に克服可能なものだ。
■政策パッケージの視點から見た経済調整効果
9月26日の中國共産黨中央政治局會議は、経済の安定成長という強いメッセージを発し、「政策強化」と「改革推進」を合わせた政策パッケージを統合的に打ち出した。その効果は現れ始めており、社會の期待や市場の信頼は回復しつつある。
國の重要戦略や重點分野の安全能力構築プロジェクトの実施と推進が加速したことで、現在の投資成長の牽引と産業のモデル転換が促進されるとともに、長期的な質の高い発展に向けたより強固な基礎が築かれている。
大規模な設備更新や消費財の買い換えは企業や市民に利益をもたらしており、これは現在の利益となるだけでなく長期的にも有益だ。この二つの政策の実施強化以來、自動車、家電、住宅インテリアなど主要消費財の売上が急速に増加し、関連産業のハイエンド化やスマート化、グリーン化を促進している。
土地、財政?稅制、金融などの政策が集中的に打ち出され、不動産の下げ止まりと安定化を後押ししている。既存と新規の政策に力を入れることで効果が現われ、不動産市場の運営におけるプラスの要素が増え続けている。全國統一大市場構築指針の策定が加速し、新たな市場參入ネガティブリストが発表され、中國共産黨第20期中央委員會第3回全體會議(三中全會)の打ち出した重要な改革措置の具體的な実行が加速するにつれて、社會全體の活力が効果的に喚起されるだろう。
「中國を過小評価するのは全く賢明でない」。シンガポールのリー?シェンロン上級相は、中國政府の打ち出した措置は信頼と需要を高めるのに役立ち、中國はすでに多くの産業で世界レベルに達していると指摘した。國際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストであるピエール=オリヴィエ?グランシャ氏は中國のマクロ政策について「これらの措置の方向性は正しい」と高く評価した。
■「新たな消費者層」の視點から見た発展の勢い
今年第1-3四半期、中國の新エネルギー車の生産臺數は前年同期比31.7%増の831萬6000臺、販売臺數は同32.5%増の832萬臺だった。中國は新エネルギー車の生産?販売臺數で9年続けて世界首位に立った。このデータには今後の消費トレンドも反映されており、これは経済の長期的な好転を支えるファクターでもある。
ドイツ人は新エネルギー車を比較の視點から見ており、現狀を見るとともに、將來を一層重視している。あるドイツメディアは消費者の構成と心理を重要なファクターと捉え、「中國人は電気自動車に対してより開放的な態度をとっており、電気自動車の購入者の平均年齢は34歳(EUは56歳)だ。これは、『発展型消費』の將來の潛在力を示している」と報じた。2022年の市場調査によれば、中國の新エネルギー車ユーザーは40歳以下の割合が84%に達し、このうち30歳以下が約半數を占める。確かに、比較すると、中國の新たな消費者層は新エネルギー車をより強く、そして持続的に支えている。
今日の中國では、新エネルギー車、自動運転技術、スマートウェアラブルデバイスから、集積回路、低空域飛行活動による経済形態「低空経済」、バーチャルリアリティ産業に至るまで、新興産業であれ未來産業であれ、科學技術革新を牽引力とし、グリーン?低炭素を指針としていることが顕著な特徴となっている。新時代に入って以來、共通認識から行動へ、投資から消費へ、供給から需要へと、新たな発展理念が「指揮棒」としての役割を発揮し、産業の深いモデル転換と高度化、発展パターンの転換加速を導き、新たな質の生産力と新たな消費者層との「雙方向の発展」を後押ししている。
この「雙方向の発展」は象徴的な意義を持つ。今日の中國では、最終消費支出の経済成長への寄與率が2012年の55.4%から2023年には82.5%に上昇している。若い世代が消費の主力になり、人口の質の高い発展と國民のハイクオリティな生活が緊密に結びつき、「生存型消費」から「発展型消費」へと移行し、14億人を超える中國人の消費空間が極めて大きく広がっていく中で、消費は常に高度化の勢いを維持していくだろう。これは中國の超巨大市場が有する深いレベルの優位性であり、中國の人口の質の高い発展における長期的な優位性でもある。
実體経済を支える現代的産業システムの構築が加速し、人の全面的な発展と國民全體の共同富裕(共に豊かになること)が著実に推し進められる中で、この「雙方向の発展」はさらに深さと広がりを増し、人口の質の高い発展が中國式現代化の包括的な実現を下支えするよう後押ししていくだろう。(編集NA)
「人民網日本語版」2024年10月30日
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