中國科學(xué)院蘇州ナノテクノロジーとナノバイオニクス研究所（以下、「同研究所」）のナノ真空相互接続実験ステーション（以下、「実験ステーション」）は、地球上で月の真空環(huán)境に最も近づけた大型科學(xué)研究所だ。科技日報(bào)が伝えた。

実験室主任の張珽研究員は8月28日の取材に対し、「実験ステーションはすでに第2世代量子材料及び部品、第3世代半導(dǎo)體材料及び部品などの世界でも先進(jìn)的な水準(zhǔn)の中核技術(shù)成果を育んでいる」と語った。

ナノ材料の製造、試験、加工は極めて困難を伴う。張氏は、「半導(dǎo)體製造のクラス10清浄度のスペースを作る場合を例に挙げると、1立方フィートの空間內(nèi)の0.5ナノメートル以上の粉塵を10粒未満に抑えなければならない。新型ナノ材料にとって、基本的な性質(zhì)を保証する上でより厳しい要求が突きつけられる」としている。

科學(xué)研究者に月の環(huán)境に近づけた実験條件を提供するため、同研究所は2014年に中國科學(xué)院の包信和院士と薛其坤院士のチームと協(xié)力し、材料成長、部品加工、試験分析を一體化させた世界初の重大科學(xué)施設(shè)である同実験ステーションの建設(shè)を開始した。

実験ステーション內(nèi)の科學(xué)研究エリアは、映畫に登場する未來の世界のようだ。全長203メートルの銀色の超高真空配管が縦橫に入り亂れ、40臺の大型設(shè)備をつないでいる。磁気伝達(dá)小型車がサンプルを載せ、毎分3.2メートルの速度で真空配管內(nèi)のレールを走り、配管外の履帯の磁石に導(dǎo)かれ、それぞれの設(shè)備箇所まで屆けられる。

実験ステーション副主任の崔義研究員は、「海外のある真空裝置は我々と同じ時(shí)期に作られたが、その規(guī)模と複雑性では我々に及ばず、真空度も非常に低い。これは彼らの材料がすぐに汚れてしまうことを意味する。超高真空環(huán)境を作るため、実験ステーションは配管材料と処理プロセスの改良や、各レベルポンプの設(shè)置といった各種手段により、設(shè)備と配管をつなぐ手段を設(shè)計(jì)?改良した。それにより各所の真空度の均一性の維持を保証している」とする。

実験ステーション副主任の李坊森研究員は、金屬の光沢を放つロボットアームとゆっくり移動(dòng)する小型車を指さしながら、「科學(xué)研究者はサンプルホルダーを巧みに設(shè)計(jì)し、磁力遠(yuǎn)隔操作と輸送を利用し、サンプルをロボットアームで配管に送る。各配管內(nèi)には磁石のついた2臺の小型車があり、スマート中央制御臺で自動(dòng)的に制御される。材料の性能の検査に用いられる設(shè)備は真空配管主軸線の両側(cè)に位置する。こうすることで、すべての設(shè)備の相互接続を?qū)g現(xiàn)した」と語る。

実験ステーション2期建設(shè)プロジェクトの検収が、今年2月に完了した。崔氏は、「実験ステーションの現(xiàn)在の真空度は2×10-8パスカル以上で、月の環(huán)境に近づいている。これは材料の『品質(zhì)保持期限』を延ばし、ナノ材料の基礎(chǔ)研究と技術(shù)開発を長期的に妨げてきたネックを解消することになるだろう」としている。

実験ステーションでは、國內(nèi)の科學(xué)研究者を受け入れているほか、國外からも多くの科學(xué)研究者が実験ステーションに注目している。

カナダ?ウォータールー大學(xué)のカナダ工學(xué)アカデミー（Canadian Academy of Engineering）の陳忠偉院士のチームは2021年に実験ステーションと連絡(luò)を取った。彼らは亜鉛イオン電池の研究開発中に難題に直面し、実験ステーションの力を借りて、研究の最後の難関を突破しようとしたのだ。チームのメンバーである羅丹博士は、「世界中を探し回っても、実験の需要を満たせるのはここだけだった」とする。彼らは実験ステーションとの踏み込んだ協(xié)力を経て、各種表徴データが完全に合致する実験結(jié)果を得ることができた。そしてその関連成果は學(xué)術(shù)誌「Advanced Materials」に掲載され、世界的に注目を集めた。

実験ステーションが現(xiàn)在受け入れている科學(xué)研究ユーザーは、清華大學(xué)や北京大學(xué)、中國科學(xué)技術(shù)大學(xué)など220を超える。そしてエネルギー材料や低次元材料、高溫超伝導(dǎo)材料などの分野で一連の重要な成果を手にしている。（編集YF）

「人民網(wǎng)日本語版」2023年9月4日