米國のバイデン大統領はこのほど、インド太平洋地域の新たな経済枠組み(IPEF)を始動し、米國、韓國、日本、インド、オーストラリア、ニュージーランド、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ベトナム、ブルネイの計13ヶ國が最初の參加國になると発表した。
報道で明らかになったところによると、IPEFの具體的なプランはまだ公表されておらず、柱として(1)公平で適応性の高い貿易(2)柔軟なサプライチェーン(3)インフラと二酸化炭素(CO2)排出削減(4)稅制と反腐敗——の4項目が設定されているだけだ。
復旦大學國際問題研究院の趙明昊研究員は、「米國はインド太平洋経済をめぐって全體的な原則と目標を打ち出したが、さまざまな議題において、參加する國、交渉推進のスピードと戦略、実行する際の力の入れ具合はそれぞれ違ってくる」と述べた。
アナリストは、「IPEFは本質的には米國が中國に対して経済競爭を展開するためのツールだが、この枠組みには『先天的な不足』が2點存在する」との見方を示し、次のように説明した。
第1に、この枠組みの下では、米國が他の參加國に対して市場を開放することはない。
米通商代表部(USTR)のサラ?ビアンキ次席代表が4月末にIPEFについて説明する際、この枠組みには「市場の相互開放の議題についての交渉は含まれない」と明言している。
これはつまり、IPEFに參加しても、自國の製品を米國市場によりスムーズに輸出できるようになるわけではないということだ。IPEFは米國以外の參加國にとって、利益の得られない「空手形」であることは間違いなく、參加への意欲を喚起することは難しい。
第2に、IPEFはバイデン政権が大統領令に署名する形式で推進されており、議會の承認を得る必要がない。こうした狀況の下、バイデン大統領の任期が終われば、IPEFは「朝令暮改」のリスクに直面することになる。
これは前例のないことではない。トランプ前政権が「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定」からの離脫を表明し、その前任のオバマ政権が積み上げてきた努力を最後の最後で失敗に終わらせたケースがある。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年5月25日