作家蕭乾の夫人で翻訳家の文潔若さん(88)は、先週土曜日に首都図書館で「文潔若と日本文學」講演會を開催、その鋭い視點から、作家三島由紀夫の作品やその人生をまるで自分の家庭內の出來事のように來場者に語りかけた。講演會の前日、記者は文さんを訪ね、この高齢者の翻訳の世界に歩み寄った。彼女は「私は100歳まで生きたい。100歳まで仕事をする」と語った。北京日報が伝えた。
現役で長編作を翻訳
文さんは自身の事業――翻訳と執筆に全身全霊を注いでいる。これも楽しく長生きする秘訣だという。文さんは今でも作家松本清張の長編小説「熱絹」の翻訳に取り組む。1986年6月、文さんは松本清張を訪ねた際、松本清張が贈ったのが「熱絹」の上下巻だった。30年経った今、この60萬字の小説はついに中國に紹介されようとしている。文さんによると、これは86歳になる弟との共同翻訳作品で、まず弟が訳し、姉がそこに色づけを加えるのだという。「彼は『信』を擔い、私が『達』、『雅』を擔う」と語る。
60年間に800萬文字の日本文學を翻訳
今でも屈することなく翻訳業と立ち向かうこの高齢者は、自分でも文學作品を訳して60年経つことを忘れていた。文さんが翻訳の道に進んだ理由は父親の存在と深い関係がある。文さんが7歳のときに、外交官だった父親に連れられて東京に渡り、日本の麻布小學校で學んだ。ある日、文さんが絵本の登場人物の姿を描いていたところ、父親は「その人物の言葉を中國語にしてごらん。翻訳というんだよ」と話しかけたという。1936年、一家で北平(北京の舊稱)に戻る際に、百萬字にもなる「世界小學読本」全巻を持ち帰り、小學生だった文さんは4年間かけてそれをすべて中國語に翻訳した。