政府活動報告の10の「新」に見る中國経済の動向
新たな質の生産力、新型インフラ、新しい消費形態、新型エネルギー體系……今年の政府活動報告が打ち出した一連の「新」は、中國経済の全く新たな趨勢と力強い原動力を反映している。
(1)新たな質の生産力
報告は、現代的産業システムの構築を力強く推進し、新たな質の生産力の発展を加速するとした。
全人代代表を務める江西省科學技術庁の宋徳雄庁長は「新たな質の生産力を打ち出したことは、産業構造のモデル転換と高度化、質の高い発展の推進という中國の大きな趨勢に沿ったものだ」としている。
(2)新興産業
報告は、新興産業と未來産業の積極的な育成を打ち出した。
國務院発展研究センター産業経済研究部の許召元副部長は「新興産業と未來産業は科學技術革命と産業変革の方向性を表している。例えば、量子技術とライフサイエンスは未來産業の新たな競爭分野となることが期待される」としている。
(3)新型エネルギー體系
報告は、エネルギー革命を踏み込んで推進し、化石燃料の消費を抑制し、新型エネルギー體系の整備を急ぐとした。
全國政協委員を務める長沙理工大學電気?情報工學部の楊洪明常務副學部長は、「安全で効率的、環境配慮型かつ低炭素型であることは新型エネルギー體系の最大の特徴だ。世界のエネルギー技術の最前線に照準を合わせ、エネルギー技術及び関連産業を中國の産業高度化を牽引する新たな成長分野へと育成する必要がある」としている。
(4)デジタル経済の革新的発展
報告は、デジタル経済の革新的発展を踏み込んで推進するとした。
全國政協委員を務める中國社會科學院工業経済研究所黨委員會の曲永義書記は「デジタル経済は新たな國際競爭の重點分野だ。デジタル経済の革新的発展を推し進めるには、研究開発投資を拡大し、デジタル経済のガバナンスシステムを整備し、デジタル経済の専門人材の育成を強化して、デジタル経済の革新的発展のためにより多くの適用シーンを創出する必要がある」と指摘する。
(5)新型インフラ
報告は、デジタルインフラの整備を適度に前倒しするとした。新型インフラは報告の打ち出した重點的な支援分野だ。
全人代代表を務める科大訊飛(アイフライテック)の劉慶峰會長は、「すでに2018年の中央経済政策會議で、5Gの商用展開のペースを加速し、人工知能(AI)、インダストリアル?インターネット、IoT(モノのインターネット)など新型インフラの整備を強化する方針が打ち出された。現段階では、汎用人工知能(AGI)がインダストリアル?インターネットを全く新たな段階へと導いていくと見られており、AIコンピューティングセンターなどの新型インフラが特に重要になると思われる」と指摘する。
(6)新しい消費形態
報告は、新しい消費形態を大きく成長させ、デジタル消費、グリーン消費、ヘルスケア消費の喚起策を実施するとした。
全人代代表を務める海南省発展ホールディングスの周軍平會長は「新しい消費形態は従來の消費形態と比べ、生産者と消費者のインタラクションをより重視しており、デジタル化、スマート化、シーン體験化などの特徴を備える」と指摘する。
(7)國際経済協力と競爭の新たな優位性
報告は、貿易と対中投資の基盤を固め、國際経済協力と競爭の新たな優位性を育成するとした。
商務部(省)國際貿易経済協力研究院の白明研究員は「過去の貿易の発展においては、往々にして低価格競爭頼みの企業が多かった。低価格競爭モデルから脫卻するには、第1にコア技術によって製品の付加価値を高めること、第2にブランド意識を持つこと、第3にマーケティングモデルを革新することが必要だ」と指摘する。
(8)新型都市化
報告は、新型都市化戦略行動を踏み込んで実施し、各種要素の雙方向的移動を促進し、都市部と農村部の融合的発展の新たな形を構築するとした。
「都市化は中國式現代化の重要な手段であり、エンジンでもある」。全國政協委員を務める秦栄生?北京國家會計學院元院長は「中國は領土が広大で、地域間の発展が不均衡だ。都市部と農村部の融合的発展の潛在能力を一層活用し、都市部の経済?人口収容力を高める必要がある」と指摘する。
(9)不動産業の新たな発展モデル
報告は、新型都市化の発展の趨勢と不動産市場の需給関係の変化に適応し、不動産業の新たな発展モデルの構築を加速するとした。
北京大學不動産法研究センターの樓建波センター長は「新市民や若者の住宅問題を解決するよう努力する必要がある。報告は、保障性住宅(政府補助のある低中所得者用住宅)の建設と供給を強化し、住民の硬直的住宅需要と多様な改善需要を満たす方針を打ち出した。不動産業の新たな発展モデルが徐々に確立されるに従い、不動産業は全く新たな発展段階に入ることになる」と指摘する。
(10)新型農業経営主體
報告は、新型農業経営主體及び社會的サービスを発展させ、農村部の人材を育成?活用するとした。
全人代代表を務める江蘇省鎮江市鎮江新區永興農機機械化専業合作社(協同組合に相當)の魏巧理事長は、支援政策を打ち出し、より多くの若者が「新農民」に加わるように促し、新型農業経営主體の育成に力を入れ、農業の社會的サービス水準を高め、農業後継者難の問題を解決することを提言している。(編集NA)
「人民網日本語版」2024年3月7日
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